バイオテクノロジーにおけるムーアの法則
スコットランドの資産運用会社ベイリー・ギフォードのトム・スレーター氏がバイオテクノロジーにおけるムーアの法則に基づき、バイオテクノロジー銘柄に注目しているという趣旨の発言をとあるインタビューでしていました。そこでバイオテクノロジーにおけるムーアの法則について解説しようと思います。
DNAシークエンス解析のコスト低下はムーアの法則を超える
バイオテクノロジーにおけるムーアの法則はDNAシーケンスのコストについて語られることが多いです。なぜなら、DNAシーケンスのコストについてはNHGRI(アメリカ国立ヒトゲノム研究所)が出資するシーケンスセンターにおけるシーケンス解析コストが20年間分あるからです。
そこで、このサイトでもシーケンス解析コストに着目して説明します。
下図に示した赤プロットがNHGRIが公表している2001年から2020年までのDNAシークエンス解析のコスト推移です。黄色の線が2001年のコストを基準とした時にムーアの法則が成り立つと仮定した場合に予測されるコスト推移の線です。圧倒的にムーアの法則を下回る推移を見せていることがわかります。
なお、2008年を境に急激にシークエンス解析コストが下がっていますが、これは次世代のシークエンス解析法が導入されたためです。
さらに2015年にも急激なシークエンス解析コストの低下が見られますが、これは民間企業の参入により価格競争が激しくなったためとされています。
ちなみに、2010年を起点としてムーアの法則の予測線を作成しても実際のコスト推移はムーアの法則を上回っています。
このようにコストの低下をイノベーションにより達成しているバイオテクノロジー業界は有望な業界として注目されています。