S&P Kensho Moonshots Index (S&P Kenshoムーンショット インデックス)
S&P Kensho Moonshots Index(S&P Kenshoムーンショット インデックス)への連動を目指す投資信託「iFreeNEXTムーンショットインデックス」が2021年6月より運用を開始しましたね。
そこで「S&P Kenshoムーンショット インデックス」について解説します。
成長初期・中期のイノベーション企業50銘柄を組み入れ
ニューヨーク証券取引所、Nasdaq、シカゴ・オプション取引所のいずれかに上場する銘柄を対象に以下の条件で50銘柄を選定しているインデックスです。
- 時価総額の最小値が1億USD以上
- アメリカ株式市場の時価総額上位10%に入る銘柄は除く
- 3カ月間の日次平均取引金額が100万ドル以上
- 最新の開示資料で売上高と研究開発費がプラスである
50銘柄の絞り込み方法
上記の条件を満たす銘柄の中からEarly Stage Compositeイノベーション・スコアというS&P Kenshoの独自スコアを元にスコアの高い順に50銘柄を組み入れます。Early Stage Compositeイノベーション・スコアは企業の研究開発費、開示書類におけるイノベーション関連ワードの集計結果をもとにして算出しています。特にKensho社は開示書類を自然言語処理や機械学習といった技術を使って解析し点数化することを得意としており、そうした技術を使用したイノベーションに力を入れている企業を評価するためのスコアです。
銘柄選定は毎年6月に行います。ウェイト調整は半年に一度です。
ウェイトは均等加重方式
基本的にはウェイトは各銘柄に均等加重されます。50銘柄なので各銘柄2%のウェイトとなります。ただし、流動性の観点から流動性の低い銘柄一定以上のウェイトにならないように調整され、他の銘柄にその余剰分が均等配分されます。流動性の考え方は以下の通りです。
流動性の確保のためのウェイト調整
このインデックスを1日あたり5000万USD取引したと仮定したときにその銘柄のウェイトから算出される取引高がその銘柄の3カ月間の日次平均取引金額の1/4を超えることのないようにウェイトを削減し、削減したウェイトを他の銘柄に均等配分します。
また、分散性の観点からも細かいウェイト制限があります。
分散性確保のためのウェイト制限
4.5%のウェイトを超える全ての銘柄のウェイトの合計が45%を超えた場合45%以下になるように調整します。
- 4.5%を超えるウェイトを持つすべての構成銘柄を、第一に個々の構成銘柄の重みで、第二に3カ月間の日次平均取引金額Tで、降順にランク付けする。
- ランキング最下位の銘柄のウェイトの一部を4.5%を超えない銘柄に均等配分して45%以下になるようにする。
組み入れ上位銘柄
基本的に均等配分なので、あまりウェイト差はありませんが、上位10銘柄を紹介します。下表のとおりです。情報技術や産業の業種が多いです。
例えば、Asanaはオンラインでチームの生産性を向上させるツールを開発している企業です。CRISPR Therapeuticsは重篤な疾患向けに遺伝子組換え技術で新規医薬品の開発を行っている企業です。このように革新的なテーマにチャレンジする企業が組み入れられています。
銘柄名 | シンボル | 業種 |
Asana Inc Ordinary Shares – Class A | ASAN | 情報技術 |
CRISPR Therapeutics AG | CRSP | ヘルスケア |
Virgin Galactic Holdings Inc Shs A | SPCE | 産業 |
ChargePoint Holdings Inc Ordinary Shares – Class A | CHPT | 産業 |
Varonis Systems Inc | VRNS | 情報技術 |
Silicon Laboratories Inc | SLAB | 情報技術 |
Energy Recovery Inc | ERII | 産業 |
Ambarella Inc | AMBA.TW | 情報技術 |
LendingClub Corp | LC | 金融 |
BigCommerce Holdings Inc Ordinary Shares Series 1 | BIGC | 情報技術 |
パフォーマンス
2020年10月から始まった指数ですが、過去に遡ってパフォーマンスを算出しています。そのパフォーマンスが下表の通りです。驚くべきパフォーマンスですが、過去に遡っているので今後実際にどうなるのかを注視したいと思います。
年率パフォーマンス | |
1年間 | 80.2% |
3年間 | 48.3% |
5年間 | 44.2% |
S&P KenshoでもeMAXIS neoでなくiFreeから投資信託が出た。
インデックスの話とはちょっとずれるのですが、S&P Kenshoと言えば、日本では三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Neo」シリーズが11本も投資信託を運用していて、メガバンクの三菱UFJ銀行の販売力でテーマ型投資信託にしては圧倒的な純資産規模を誇っていました。
そういったこともありS&P Kenshoは三菱UFJ国際投信以外の会社とは契約するつもりがないのかと思っていました。ですので、大和アセットマネジメントからiFreeNEXTシリーズとして「S&P Kensho Moonshots Index」に連動を目指す投資信託の販売が始まって驚きました。
注意事項
参考資料
当記事について
当記事は閲覧者に情報を提供することを目的としており、金融商品の勧誘を目的としたものではありません。
当記事は将来を保証するものではありません。
当記事の執筆に際して、指数提供会社・運用会社・販売会社との金銭のやり取りは一切ありません。
執筆者は「Direxion Moonshot Innovators ETF」を全個人資産の2%未満保有しております。ただし、当記事は自身が保有する金融商品の価格操縦を目的としたものではありません。