S&P Kensho Autonomous Vehicles Index(ケンショー 自動運転インデックス)

2021年7月23日

S&P Kensho Autonomous Vehicles Indexへの連動を目指す投資信託「eMAXIS Neo 自動運転」が2019年5月から運用開始されましたね。そこでS&P Kensho Autonomous Vehicles Indexについて解説します。

機械学習を用いた新しい指数算出方法

S&P Kensho Indexのページで説明したように機械学習を用いた新しい指数算出方法を採用しています。その中でもS&P Kensho Autonomous Vehicles Indexは自律走行車(いわゆる自動運転車)に注力しているアメリカに上場している企業を対象に算出した指数です。

組み入れ対象の銘柄

以下の基準を満たす銘柄が対象です。

  • NYSE(ニューヨーク証券取引所)、Nasdaq(ナスダック)、 Cboe(シカゴ・オプション取引所)のいずれかに上場する株式
  • 浮動株調整後時価総額が1億USD以上
  • 過去3か月間の平均日次売買高において100万USDを下回る日がないこと

ウェイトの決め方

時価総額でウェイトバランスを決めていません。各銘柄を自立走行車に関係する事業が会社の主な事業であるコア企業とそうではないノンコア企業に分けてカテゴリーごとに同じウェイトになるようにしています。また、流動性の観点から調整を行っています。

流動性の観点からの調整

2500万USDにウェイトをかけあわせた額が基準日より過去3か月間の各銘柄の平均日次売買高の25%を超えないようにウェイトを調整します。調整の結果余ったウェイトは他の銘柄に均等に分配されます。つまり、あまりにも取引量が少ない銘柄のウェイトが高くならないようにウェイト調整を行っています。

ウェイト調整のタイミング

半年に一度調整されます。毎年5月と11月です。

銘柄数は28

2021年6月現在の組み入れ銘柄数は28です。上位10銘柄で47.1%のウェイトを占めています。5月の銘柄定期入れ替えで組み入れ銘柄が7銘柄増えたので、特定の銘柄へのウェイトの偏りが多少改善しました。

パフォーマンス

パフォーマンスは下表の通りで、直近の2年間は良いパフォーマンスです。ただ2018年はマイナスとなっていたりするので、今後に注目したいです。

中国銘柄のウェイトが15%前後

アメリカ市場に上場していればアメリカ以外の場所に本社がある銘柄も採用される可能性がある指数のため、中国系の銘柄も採用されています。ウェイトとしては2021年6月末現在で19.5%です。また日本企業も1銘柄採用されていてトヨタ自動車のニューヨーク市場に上場しているADRが採用されています。

eMAXIS Neo 自動運転も中国銘柄を10%前後組み入れ

当然のことながら、eMAXIS Neo 自動運転も中国銘柄を組み入れています。ただし、月報では会社の登記上の所在地であるケイマン諸島に所属の銘柄ということになっており、月報だけ読むと中国銘柄が組み入れられているように感じない人もいるかもしれません。
(※ケイマン諸島にカテゴライズされている会社が全て中国銘柄というわけではありません。アメリカの会社で登記をケイマン諸島にしている会社ももちろんあります。)

アメリカに投資といっても、アメリカの市場に上場している会社(ADRも含む)という意味なので、アメリカ以外の国の会社に投資したくないという人はご注意ください。

上位組み入れ銘柄の時価総額は?

時価総額でウェイトバランスを決めていないため、上位組み入れ銘柄の時価総額は3000億円規模のものから60兆円規模のものまで様々なものが組み入れられています。時価総額が小さい銘柄もウェイトが7%前後になる場合があるというのがこの指数の特徴ですかね。

銘柄名時価総額
AMBARELLA INC約4000億円
TESLA INC約63兆円
GENERAL MOTORS CO約10兆円
FORD MOTOR CO約7.0兆円
APTIV PLC約4.8兆円
VEONEER INC約3100億円
VISTEON CORP約4000億円
XPERI HOLDING CORP約2500億円
ON SEMICONDUCTOR CORP約1.5兆円
BAIDU INC – SPON ADR約6.0兆円
時価総額は1USD=110円として計算しています。2021年5月の株価を基に計算していますので、最新情報はReutersやBloombergのサイトでご確認ください。

2021年の定期入れ替えでベロダイン・ライダーが組み入れ

2021年の定期入れ替えで8銘柄が新たに組み入れられました。その中で個人的に注目しているのは ベロダイン・ライダーです。この会社は自動運転車の目にあたる「LiDAR」というセンサーを開発・販売している会社で日経新聞にも 「LiDAR」関連 の記事で度々登場する会社です。 ベロダイン・ライダー は2021年の第一四半期の売上が1,800万USDで2,700台の 「LiDAR」 を出荷しており既に実績を積んでいる会社です。

注意事項

参考資料

eMAXIS Neo公式サイト

S&P Global公式サイト

Kensho Technologies公式サイト

日経新聞2021.05.21付記事

Forbes2021.07.09付記事

当記事について

当記事は閲覧者に情報を提供することを目的としており、金融商品の勧誘を目的としたものではありません。

当記事は将来を保証するものではありません。

当記事の執筆に際して、指数提供会社・運用会社・販売会社との金銭のやり取りは一切ありません。

執筆者は「eMAXIS Neoシリーズ」をそれぞれ全個人資産の2%未満保有しております。ただし、当記事は自身が保有する金融商品の価格操縦を目的としたものではありません。