S&P Kensho Nanotechnology Index(ケンショー ナノテクノロジー インデックス)

2021年7月23日

S&P Kensho Nanotechnology Indexへの連動を目指す投資信託「eMAXIS Neo ナノテクノロジー」が2018年12月から運用開始されましたね。そこでS&P Kensho Nanotechnology Indexについて解説します。

機械学習を用いた新しい指数算出方法

S&P Kensho Indexのページで説明したように機械学習を用いた新しい指数算出方法を採用しています。その中でもS&P Kensho Nanotechnology Indexはナノテクノロジーに注力しているアメリカに上場している企業を対象に算出した指数です。ナノテクノロジーといっても色々な考え方があると思いますが、この指数ではナノスケールの材料を生産する企業、生産ラインにナノテクノロジーを利用する企業、ナノスケールを測定できる装置を製造する企業が含まれています。

組み入れ対象の銘柄

以下の基準を満たす銘柄が対象です。

  • NYSE(ニューヨーク証券取引所)、Nasdaq(ナスダック)、 Cboe(シカゴ・オプション取引所)のいずれかに上場する株式
  • 浮動株調整後時価総額が1億USD以上
  • 過去3か月間の平均日次売買高において100万USDを下回る日がないこと

銘柄数は14

2021年6月現在の組み入れ銘柄数は14です。上位10銘柄で82.7%のウェイトを占めています。S&P Kenshoシリーズの中でも銘柄数が少ない部類のインデックスのため、上位10銘柄への偏りが大きいインデックスとなっています。ご注意ください。

ウェイトの決め方

時価総額でウェイトバランスを決めていません。各銘柄をナノテクノロジーの事業が会社の主な事業であるコア企業とそうではないノンコア企業に分けてカテゴリーごとに同じウェイトになるようにしています。また、流動性の観点から調整を行っています。

流動性の観点からの調整

1000万USDにウェイトをかけあわせた額が基準日より過去3か月間の各銘柄の平均日次売買高の25%を超えないようにウェイトを調整します。調整の結果余ったウェイトは他の銘柄に均等に分配されます。つまり、あまりにも取引量が少ない銘柄のウェイトが高くならないようにウェイト調整を行っています。

選定は5月、リバランスは11月

5月末に銘柄選定とウェイト決めが、11月末にウェイトのリバランスが行われます。

上位組み入れ銘柄の時価総額は?

上位組み入れ銘柄の時価総額は1000億円規模のもの( VUZIX CORP )から5兆円規模のもの( KLA CORP )まで様々なものが組み入れられています。ウェイト調整までの半年間の値動きによるのですが、時価総額が1000億円規模の銘柄のウェイトが一時的に20%前後になることもあるのがこの指数の特徴です。また、医薬品・バイオテクノロジー・ヘルスケア機器の銘柄が10銘柄中6銘柄を占めております。

銘柄国・地域業種
PACIFIC BIOSCIENCES
OF CALIF
アメリカ医薬品・
バイオテクノロジー
NANO DIMENSION
LTD – ADR
イスラエルテクノロジー・
ハードウェア
BIONANO GENOMICS
INC
アメリカ 医薬品・
バイオテクノロジー
BRUKER CORPアメリカ 医薬品・
バイオテクノロジー
ANGIODYNAMICS
INC
アメリカヘルスケア機器・
サービス
VUZIX CORPアメリカ耐久消費財・
アパレル
THERMO FISHER
SCIENTIFIC INC
アメリカ 医薬品・
バイオテクノロジー
DANAHER
CORP
アメリカ ヘルスケア機器・
サービス
KLA CORPアメリカ半導体・
半導体製造装置
NEOPHOTONICS
CORP
アメリカ半導体・
半導体製造装置
2021年6月現在

パフォーマンス

パフォーマンスは下表の通りです。ここ2年はパフォーマンスが良いですが、2017、2018年はそれほどでもありませんでした。今後どういうトレンドになっていくか注目したいです。

VUZIX CORPがナノテクノロジー銘柄になった理由

なぜかスマートグラスが主力商品のVUZIX CORPがナノテクノロジーの銘柄になっています。これは機械学習で選定しているため、不明な点が多いですがmicroLEDという従来のLEDよりも小さな画素で構成されたディスプレイを使用していることがナノテクノロジーと判断されたのではないかと推定されます。

注意事項

参考資料

eMAXIS Neo公式サイト

S&P Global公式サイト

Kensho Technologies公式サイト

当記事について

当記事は閲覧者に情報を提供することを目的としており、金融商品の勧誘を目的としたものではありません。

当記事は将来を保証するものではありません。

当記事の執筆に際して、指数提供会社・運用会社・販売会社との金銭のやり取りは一切ありません。

執筆者は「eMAXIS Neoシリーズ」をそれぞれ全個人資産の2%未満保有しております。ただし、当記事は自身が保有する金融商品の価格操縦を目的としたものではありません。